知覚過敏:診断
知覚過敏を診断する
「露出した象牙質が刺激に反応することで生じる短く鋭い痛みであり、他のいかなる歯の不具合や病状にも起因するものではありません1。」
患者さんの病歴
カナダ諮問委員会のガイドラインでは、知覚過敏について全ての患者にスクリーニングを実施し、診断を行い、患者さんの効果的な疾患ケアを促すことが推奨されています2。
(客観的な手段に加えて)患者さんからの報告による病歴を入手し、診断に役立てることが必要です2,3。
一般的な人よりも知覚過敏に罹患しやすい人がいます。その例を以下に示します2,3。
- 非常に力強く歯磨きをする人
- 歯周治療を受けたことのある人
- 酸性の強い食品・飲料を頻繁に摂取する人
- 過食症の人
患者の病歴聴取の一貫として行う、知覚過敏と判断できる可能性のある質問2
探りを入れる質問 | 知覚過敏と判断できるようなものは? |
あなたが経験した痛みについて説明してください。 それは鈍くズキズキするような痛みですか? |
痛みの説明: 短く鋭い痛み |
この痛みの原因は何ですか?特定の食べ物や飲み物が原因ですか? | 痛みの誘因: 温度、浸透圧、および/または触知 |
あなたの歯磨き習慣について説明してください。 | 過度のブラッシング、口腔衛生不良 |
あなたの食生活について説明してください。 | 食事での過度な酸の摂取: ワイン、柑橘類、フルーツジュース、酢の物など |
胃酸の逆流に悩んだり、過度の嘔吐を経験したりしていますか? | 胃食道逆流または過度の嘔吐の徴候をみる |
知覚過敏の鑑別診断
知覚過敏に似た症状を伴う疾患は多数あります。これらの疾患を知覚過敏の診断確定前に除外する必要があります3。
病因 | 痛みのタイプ | 痛みを引き起こす刺激 | 関連する特徴 |
亀裂歯症候群(歯のひび割れ) | 鋭い、断続的、短時間、刺激の除去により回復 | 噛むこと | 外傷、異常機能 |
歯髄炎 | 鋭いまたは鈍い、口内の正確な場所の特定が困難、自然発生する(刺激がなくても発生する場合がある)、あるいはズキズキする、長時間持続する、夜間眠れないことが多い | 温度(熱刺激 の場合が多い) 浸透圧 触知 |
う蝕、歯科修復物 |
根尖性歯周炎 | 鈍い、自然発生する(刺激がなくても発生する場合がある)、あるいはズキズキする、長時間持続する、夜間眠れないことが多い | 噛むこと | 根尖周囲の赤み、腫れ、可動性が考えられる |
有用な診断検査
知覚過敏の診断は、歯科用探針での触刺激に対する反応をチェックするか、エアーによる冷刺激への反応をチェックすることで確認できます4,5。
知覚過敏の痛みを評価する
知覚過敏を確認するための検査は、明確な刺激によって痛みを引き起こすことを目的としています。臨床試験では、痛みの強度や引き起こされた不快感のレベルが臨床医、または患者によって定量化されます4。Schiff尺度では、患者さんが冷たい空気に対して感じる痛みの程度を臨床医により評価します4。視覚アナログ尺度(VAS)では、患者さんが尺度定規で痛みの程度をマークします4。