義歯装着者が直面する問題の原因
義歯の設計
優れた設計の義歯により、咀嚼力が回復し、発話が改善され、審美的効果が得られ、全体的な口腔衛生も維持されます1。
機能的で快適な義歯を作るには、装着者に合わせた慎重な計画と、以下の要素の考慮が必要です1,2:
- 臨床的要素
- 解剖学的要素
- 技術的要素
義歯装着者の問題とその原因:優れた義歯設計の原則
優れた義歯設計の基礎となる3つの包括的原則
優れた義歯設計のための3つの包括的原則:
- 維持力 上下方向への動き、すなわち顎堤から外れようとする床の動きに耐える機能3
- 安定性(把持力)可能な限り安定性があり、左右方向の動きに耐え、患者さんの口腔内で常に物理的な存在感を感じさせないようにする機能5
- 支持力 義歯を支える力、すなわち顎堤を圧迫しようとする床への動きに耐える機能4
口腔内の解剖学的構造による制約と義歯の維持力/安定性
患者さんの口腔内の解剖学的構造により、義歯の維持力や安定性が制限されることがあります6,7。適合の良い義歯であっても、患者さんの口腔内の解剖学的構造によって機能が制限されたり2、経時的な骨吸収による影響を徐々に受けたりすることがあります7,8。
口腔内の解剖学的構造の影響
維持力を制限する要因:
個人の口腔内の解剖学的構造によって定まる面積6
- 小さい下顎
- 平らな顎堤
- 小さい基底面
患者さんへの影響:
- 義歯の維持力6,8と安定性が低下7
- 咀嚼力が低下7,8
- 義歯への満足度が低下7
義歯の衛生不良は口腔衛生不良の原因に9–11
不十分な義歯洗浄は、義歯性口内炎を引き起こすおそれがある19,20
義歯装着者の最大88%が、義歯を効果的に洗浄できていません21。
総義歯装着者の最大67%で、義歯性口内炎が認められています19。
義歯性口内炎
義歯性口内炎では多くの場合、カンジダ菌感染によって義歯床下の粘膜が発赤します。
未治療のまま放置すると、口腔内の痛みの原因となる可能性があり、将来的には義歯不適合につながるおそれもあります19–21。
口内炎は(粘膜表面ではなく)義歯粘膜面の微生物バイオフィルムと、義歯不適合によって起こります20。
義歯性口内炎の有病率は、付着した義歯プラーク量と強く関連しています19。
口内炎患者さんの義歯関連要因19。
効果的な指導によって、不十分な口腔衛生習慣によるリスクを軽減できる