歯周病と象牙質知覚過敏症との関連 ‐適切な歯磨剤の選択を‐

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歯周病と象牙質知覚過敏症との関連 ‐適切な歯磨剤の選択を‐

歯周病と象牙質知覚過敏症は相互に関連した疾患です。歯周病は、さまざまな全身疾患の上流に位置するため、歯周病 を予防することはそれらの予防につながり、健康に寄与できると考えられています。本講演では、歯周病予防として歯科医による専門的な治療や、象牙質知覚過敏症と歯周病を同時にケアできる歯磨剤を用いたホームケアについて解説 いただきました。症状にあわせて、適切な歯磨剤の選択をしましょう。

監修:徳島大学大学院・医歯薬学研究部 歯周歯内治療学分野 教授 湯本 浩通 先生

※本記事は、2022年9月21日に開催されたシュミテクトウェブ講演会の内容ともとに作成しております。

知覚過敏症の様々な要因

象牙質知覚過敏症と歯周病。

象牙質知覚過敏症は、「象牙質に対してさまざまな刺激によって誘発される短く鋭い痛み」と定義された症状に対する病名です。

象牙質知覚過敏症の原因はさまざまで、不適切なブラッシング、ブラ キシズム、加齢などが挙げられます。歯周病治療によっても象牙質知覚 過敏症が誘発されることがあり、さらに歯周病が治癒した場合でも歯根が露出されていると象牙質知覚過敏症の原因となります。歯周病の原因は象牙質知覚過敏症の原因と共通する点もあり、歯周病に罹患している人では、約60%が象牙質知覚過敏症を併発しているという報告もあり ます¹⁾。すなわち歯周病と象牙質知覚過敏症は、それぞれの始まりから予後・再発まで、非常に密接に関与する疾患であるといえます(図1)。

知覚過敏による負のスパイラル

象牙質知覚過敏症と全身疾患

象牙質知覚過敏症はブラッシングでも痛みが生じるため磨き方が不 十分になりやすく、口腔内の不衛生によりう蝕や歯周病を発症し、さらに 悪化するという負のスパイラルを繰り返します。負のスパイラルは、全身的な影響、さらにはQuality of Life(QOL)の低下につながります(図2)。

実際に、生活習慣病の成因と合併症発症の連鎖をドミノ倒しに見立て た「メタボリックドミノ」では全身疾患の上流にう蝕や歯周病があること が示されており²⁾、う蝕、歯周病、さらには、これらに関連した象牙質知覚過敏症を予防することが非常に重要なことがわかります。

象牙質知覚過敏症の予防・抑制

象牙質知覚過敏症の予防・抑制と診査

象牙質知覚過敏症の予防・抑制には、歯周病の観点からプラークコントロールを確立して、プラーク・細菌の除去、歯肉退縮の防止、適切な ブラッシングによる歯質摩耗の防止など適切な衛生指導をしていくことが 求められます。また、ブラキシズムの防止や、歯を強くするようなフッ化物 を応用した歯磨剤の利用を患者さんに推奨することなども大切です(図3)。

患者さんが痛みを訴えた時には、部位を同定して、痛みの程度、治療 歴、生活習慣を確認します。 さらに、歯周病の診査にも共通する咬合状態、口腔清掃状態、全身的要 因についても診査し、患者さんに適した処置方針の決定につなげていく 必要があります。

象牙質知覚過敏症の治療

象牙質知覚過敏症の治療

象牙質知覚過敏症の原因にもなる歯肉退縮に対しては、概ね歯周治療の根面被覆という術式が用いられます。歯周形成手術により露出した根面を覆って正常な状態に戻す術式や、限局型の病変に対してはより低侵襲のフラップ手術などがあり、結合組織移植術(CTG)が 多く行われます。歯肉退縮の治療が知覚過敏症状の抑制にもつながり ます。

象牙質知覚過敏症の治療では、操作が簡便、低侵襲性など多くの 要件が求められます。しかし全てを満たす治療法はないため、患者さん のライフスタイルやニーズ、あるいはその患歯、場所に応じた治療を 選択します(図4)。歯科医による専門的な治療のほか、来院が難しい 場合は患者さんの日常的なホームケアも選択肢のひとつになり得ます。

シュミテクト歯周病ダブルケアEX

適切な歯磨剤の選択

歯磨剤に用いられる成分である硝酸カリウムには、象牙質知覚過敏 症に対して神経を鈍麻する作用があります。またフッ素には歯質を強化 する作用があり、う蝕の予防にもつながると期待されています。現在、日本で認められているフッ素濃度の上限は1,500ppmです。その上限 に近いフッ素を含有する歯磨剤もあり、ホームケアにおける使用が推奨 されます。

最近では硝酸カリウムに、抗炎症成分、浸透殺菌成分を配合した 歯磨剤があり、象牙質知覚過敏症と歯周病を同時にケアすること が可能です(図5)。患者さんに適した歯磨剤を選択し勧めていく ことが望まれます。

歯周病は、さまざまな全身疾患と関連することがわかってきています。全身疾患の中には、唾液分泌 が低下する、すなわち口腔内の環境を変化させる疾患もあるため、患者さんの口の中だけでなく、 総合的に患者さんの健康をチェックしていくことが求められています。

監修:

徳島大学大学院・医歯薬学研究部

歯周歯内治療学分野  教授  湯本 浩通 先生

1) 2022年自社U&A調査

2) 伊藤裕, 日本臨床 61(10): 1837 (2003)

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